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「 グリーンな液体燃料 」

[ GREEN LIQUID FUEL ]

豆電球の画像

エンジン車の新たなエネルギーとして
期待される
グリーンな液体燃料「合成燃料」

2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)実現に向けて、さまざまな分野・産業でチャレンジがおこなわれています。クルマ業界ではガソリン燃料に代わるクリーンなエネルギーとして注目しているのがグリーンな液体燃料「合成燃料」です。「合成燃料」は二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成して製造される燃料のことで、“人工的な原油”とも言われています。その成分は化石燃料である原油に非常に近いという特徴があり、カーボンニュートラルの実現に向けて期待が高まっています。

合成燃料の説明画像

「合成燃料」製造に必要な2つの原料と
よりクリーンな合成燃料「e-fuel」

原 料
1

原料のひとつはCO2。発電所や工場、クルマ、航空機、船舶などから排出されたCO2を利用していきます。将来的には、大気中のCO2を直接分離・回収する「DAC技術(直接空気回収技術/Direct Air Capture)」を使って、直接回収されたCO2を再利用することが想定されています。

DAC技術イメージ図

原 料
2

もうひとつの原料であるH2は、製造過程でCO2が排出されることがない再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力)などでつくった電力エネルギーを使って、水から水素をつくる「電解法」という方法が基本となります。

再生可能エネルギーイメージ図

e-fuel

またCO2とH2の両方を作る過程で、化石燃料を使わずに再生可能エネルギー由来で生成された場合、合成燃料のなかでも特別に「e-fuel」と呼ばれ、燃料の理想型といわれています。
こうしてCO2とH2を合成して製造された「合成燃料」は、原油にくらべて硫黄分や重金属分が少ないという特徴があり、燃焼時にもクリーンな燃料となります。

ビーカーを持って透明の液体を注いでいる様子の画像
豆電球の画像

「合成燃料」の特徴と
将来への可能性。

「合成燃料」は液体であり、ガソリン・軽油・灯油などにとても近い成分です。エネルギー効率も良く、現在の燃料と同じような使い方ができるのが大きな特徴です。従来の燃料と同じように使えるということは、今使用している設備も同じ様に使えるということです。ガソリン車やその他の内燃機関を原動機に利用できるだけでなく、石油コンビナートに代表される大規模な精製・貯留施設、ガソリンスタンドなどのインフラ施設などの再利用も可能になります。また「合成燃料」の原料となる二酸化炭素(CO2)と水素(H2)は常に大気中に存在しているため、将来的に「合成燃料」が本格的に普及することで、国内での原料調達と大量生産が可能になり、各業界にとっても大きなメリットになることが考えられます。
では、「合成燃料」の本格的な実用化はいつ頃になるのでしょうか。経済産業省の考えでは、2030年までには効率的で大規模な製造技術を確立させ、2040年までには商用化を目指すというロードマップを描いているとのことです。

石油コンビナートの夜景画像

クルマ業界では、カーボンニュートラル(脱炭素)は急務ではあるものの、今の日本国内ではガソリン車からEV車に急速に切り替えることができない実情があります。今後の「合成燃料」の普及に大きく期待したいと思います。

参考資料:経済産業省 資源エネルギー庁 HP「スペシャルコンテンツ」

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※写真・イラストは全てイメージとなります。

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